旅のウルトラC
その頃、私は若く美しかった
カンニャクマリの浜辺は夕暮れだった
潮の匂いが満ちては鼻先に渦を巻き
風がたおやかにあおる
私は海際に立ち、
金のスパンコールが縫い取られた、
オレンジ色の透けるストールを風に流していた
そっと夕暮れにふわふわと舞う風を見ていた
呼吸するように頑是なく嬲るように、
駄々をこねるように愛撫するように囁く風よ
すると向かいから
マザーテレサと同じ白地に蒼い線のサリーを着た修道女が通り、
私の姿を見ると、手を合わせて私を拝んだ
私は何かわからなかったが小首をかしげてお辞儀を返した
その後、のちの夫の親しくなったインド人の男に
その修道女の話をした
すると、男は目を輝かせて語った
彼女は君の姿の中に神をみつけたんだよ
だから拝んだんだよ
それは特別な瞬間だよ
生きているってそんなだよ
さあ、頬を撫でる風をめでよう
風が頬に子リスのように弧を描いているよ
キラキラと煌めく、残照の金の記憶よ
カンニャクマリの浜辺は夕暮れだった
潮の匂いが満ちては鼻先に渦を巻き
風がたおやかにあおる
私は海際に立ち、
金のスパンコールが縫い取られた、
オレンジ色の透けるストールを風に流していた
そっと夕暮れにふわふわと舞う風を見ていた
呼吸するように頑是なく嬲るように、
駄々をこねるように愛撫するように囁く風よ
すると向かいから
マザーテレサと同じ白地に蒼い線のサリーを着た修道女が通り、
私の姿を見ると、手を合わせて私を拝んだ
私は何かわからなかったが小首をかしげてお辞儀を返した
その後、のちの夫の親しくなったインド人の男に
その修道女の話をした
すると、男は目を輝かせて語った
彼女は君の姿の中に神をみつけたんだよ
だから拝んだんだよ
それは特別な瞬間だよ
生きているってそんなだよ
さあ、頬を撫でる風をめでよう
風が頬に子リスのように弧を描いているよ
キラキラと煌めく、残照の金の記憶よ