ポエム
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カタカタカタカタ、カタ、ツムリ
カタカタカタカタ、カタ、ツムリ、

わたくしは蝸牛でございます
わたくしの殻は薄くて柔らかい

冬には眠りいくつもの夢を見る
生きることにうなされませんように

わたくしの命は短いのだから
わたくしの宿は紫陽花の青と紫の
混じる袂(たもと)でございます

ああ今、
幼子が面白がって
わたくしをつまみ
甘いピンクの爪で潰しました

青い雨が黙々と降り
世界はとっても静かです
わたくしが死んだことなど静けさにくるんで

お葬式を出してください
いつも雨音が音楽葬なのですから

弔いの悲しみは無言の中に層を作り
紫の煙とたなびいてしなを作り、
心の水底でうずくまり、沈殿して、
まわりに流れる雨の斜と、
遠いどこかの幻の熱い砂丘の風紋と響きあい、
恋焦がれて呼び合い、
流されなかったドラマをこの大空の天蓋に映画上映します
それはわたくしの最期の夢の物語、

それを見て涙するあなたの頬の濡れが、
この鬱蒼としためぐる世界のささやきの物語ののちいさな栞です

さよなら、さよなら

カタカタカタカタ、カタ、ツムリ

23/02/13 21:13更新 / 湖湖



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