ポエム
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昔話をするなと家族に言われ
昔話をするな、と家族に言われてさみしい
その通りだ、まったく退屈だ、そう思っているからだ
今が不足しているから
記憶力も悪くて、昔の友達の名前も覚えていないのに
私は昔話を思い出してしまう
三日前の鍋を温めなおすように
アートを教えてくれるNPOに行き始めて
20年、病気で家に引きこもり、
社会から離れていたから
コミュニケーションスキルが落ちていることに気が付いた
言葉のキャッチボールが下手だし
他者との摩擦を想像すると舞い上がって、
上ずり、手が震え、ぷちパニックしてしまう
私、深窓の令嬢になっちゃったわね
と老母に言われて微妙な気持ちの猫おばさんである
傷つきやすい自分を抱えて夢を見る
それは卵の殻の中の雛のように
震える心は瞼を閉じて夢を蓄える
生きていくために夢を蓄えて
宇宙のどこかの星に以心伝心したりする
とりとめのなさに宇宙時間
ぎーと鳴る扉よ
私はあなたを求めるから生きられる
この言葉は秘めたマントラにしよう
そして冷たい人の足音を
森でそっと死んだ獣の死体のように聴いて立ち去るしかないのか
せめて飛んで夜の闇よ
誰もいない海の泡に揉まれ
吹き寄せられた藻屑となり夜の海をさまよう
独りであることは
いつかたどり着くため
たどり着くため
存在という石を齧れ、私よ
23/02/06 01:22更新 / 湖湖



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