ポエム
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日に灼けた赤髪を後ろで無造作に束ねた
そばかすだらけの女が
ブラウスのボタンをいらいらと外している
そばかすだらけのちいさな胸がこぼれる
桟橋の袂に衣類をおざなりに引っ掻けて
最期に勢いよく脱ぐ
腕を振って大股で走り湖にざぶん!と飛び込んだ
連れの男も慌てて裸になりざぶん
シェパード犬がドドド、とまろび転げてざぶん!
ボコリと陥没した水が白く泡を吐き
水はいっせいに群れる細かな羽虫だ
羽ふるわせて沸き舞い踊る羽虫だ
まばたきの命の
女と男と犬がくつり、煮え立つ
二人と一匹の息は顔にぶつかり合い熱いベロだ
岸へあがると歯の根はカチカチして
膝はひょこひょこ引き攣れ撥ねて笑う
ぶるり震えながら丸、三角、四角、とまくしたて
ササクレ柱に引っ掻けたタオルを身体に巻き付ける
ぺたりぺたりと濡れ足で還り
長椅子にふやけた足指の片膝ついて
煮たてた牛乳を唇にふくむ
どぽぽ、とシェパードの皿にも乳が飛び散る
ごぷりごぷり、
皆赤ちゃんの気分で




23/01/31 23:46更新 / 湖湖



談話室



■作者メッセージ
昔書いた詩。

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