ポエム
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絵を習って

今日は水彩画とコラージュを習った
色と色が水に滲んで混じり合い
その色彩の混濁の化学反応が
風に誘われるように
色水の中で糸のようなメダカが泳ぐように
ふわーっと見える
この滲むことの美しさだ

冬をテーマに大好きなものを、と思い
太陽と青い花瓶のバラと日向ぼっこする愛猫を
暖色のオレンジや黄色、ピンクで点描や線描で描いた
色彩がフィンランドのマリメッコみたい、と言われた

また、海を幾何文の着物の図案の
青海波(せいかいは)模様にして背景に
ピンクの兎を波間に飛ばせ
金色の雲を色づけしたコラージュで幾つも浮かばせて
因幡の白兎を描いてみた

新しい人達の間で緊張したが水彩画はすごく楽しかった

講師や職員の人たちは初めて来た私に親切で凄く優しかった
病者、障碍者の回復、就労施設で芸術をテーマにしているから
自由で明るく、皆思い思いに創作しのんびりしていた

私の病気は70年代くらいまで非道にも暗い座敷牢に
閉じ込められている人も居たくらい偏見がある病気だから
非政府組織NPOが芸術を翼にして
病人の回復を助けるようになったのは
すごい時代の進歩だ

数年前、医者は差別があるから病名を明かさないほうがいい
そう私にアドバイスした

私は心から落胆した

職を失い社会から離れて
闘病を繰り返した日々を想えば
病を語らないことは人生を語らないことに同じで
孤独を括り誰にも心を許さず
社交辞令だけの人間になるのと同じだからだ

無理なのだ

人は人と心から心を分かち合いたいもの
理解しあったり愛しあったり
人生の事実と真実からは逃れられない
例えば癌だとしたって告知してほしいように

ああ、
喜びを分かち合い、
慰め、励まし、ともに笑う喜びを
あなたと



22/12/22 17:56更新 / 湖湖



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