東京亡命
都会には餌がある
喰いぶちが残ってる
山里は限界集落になってから
仕事もねえ
おらだぢはまるで
飢えた猪のごと
街さ降りだ
集団就職も出稼ぎも
死語になって久し
最低賃金も最低でもよ
まんだ仕事がありゃ恩の字よ
村はとっくに死んじまった
だから手足が動くじじばばも
東京さ東京さと
亡命してくるだ
家も売れね
空家ばかりの疲弊した
喰い潰した村ば捨て
棄民のごと
東京さ東京さと
流されでくるだ
住み込みでええ
喰って寝られだら
なんだってする
飢饉のよんだ
地方は切り捨て
病院もね
若者もいね
売り店ばかりの
シャター通り
逃散する村人ばがり
んだはんで
東京さ東京さと
亡命するずおん