二つ折りの夢
どこか他人の家の蔵の中か
薄暗いかびた臭いも懐かしく
連れ去られた子供のわたしは
泣きながら夢を折り紙のように
二つ折りにしていた
あれはばばさまに閉じ込められた
幼いころの夢の錯綜
そうしていじけた子は
いくつもいくつも
叶えられない夢をば
枝に結び川に流して
供養する
どうしてか老後のいまに
二つに折られた夢を見た
どやら枕がよくないようだ
破れた座布団をどうにでも
二つ折りにして枕代わりは
破綻した夢の葬送を
映像にして何度も反復して
アーカイブして恨ませる
流された末路のおまえだ
なぜ泳がなかった
過ぎた夢は畳まれた
なるようにしていまがあり
わたしは形代を舟にして
昔を遠目で見送るだけだ