あなたはどこへでもゆく
あなたのいない冷たい部屋に帰る
ゆうべはなにも話していなかったが
夜勤の仕事が入ったのだろう
病気のあなただから心配はする
探偵のように探りに行って事件にでも
まきこまれないだろうかと
そんな心配をよそに
あなたは嬉しそうに朝帰り
ああ面白かった と
まるで女子大生に戻ったように
ネットで調べた単発のバイトに
臆することなくさっさと出かける
横浜であろうと千葉であろうと
夕方から朝までの夜勤は収入がいいと
工場だろうが配送センターだろうと
電車乗り継ぎもいとわずに
あなたはどこへでも
働きにゆくようになった
どうしてか
年末から新年になってからも
外に出ることに意欲を燃やしてきた
あなたの心の病には
仕事が一番
進んで働くリハビリで本来の
あなたに戻るなら
それにしてもなんでもする
あなたの頼もしさ
今日はどこまで行ったやら