27 時の街
未明の3 時を
われわれの業界では
27時と呼ぶのは
夜勤の勤務時間が
計算しやすいからだ
おまえは何時までだ
29時すよ
いいよな おれは33時までだ
そんな会話が警備員同士で交わされる
どこも人手不足で繋ぎがいないから
朝まで残業だった
行き場のない若者や
年金の少ない老人たちが
真夜中の建設現場に立つ
今年は暖冬でよかったよ
それでもかじかむ手先を
息で暖め暖め
持っている誘導灯だけが点滅するが
27 時の街は酔っ払いもタクシーも
通らない熟睡の街だ
工事中のコーンにバー
作業機械も放置され
動いているものなどない
唯一通りで明かりがついている
コンビニも客もなく
都市も眠る27 時は
冬の夜の底で凍りついている