青春遺跡の街 ぶくろ
ぶくろには久しく来ていなかった
50 年の歳月が
シベリアの凍土で発見された
マンモスの完全冷凍遺体のように
突如わたしの前に出現する池袋
昭和の小路がそっくりと保存され
ソープランドにエロ映画
怪しげな風俗店が
不景気なポン引きたちと
いまもあることの驚き
骨董品屋か古本屋を覗くように
わたしは自分史の古書と
出土品をそこに探している
いつも腹を空かせていた
すっかんぴんの18歳の少年が
うろついた路地裏も
迷いこめばひょっとして
あの飢えた青春に還れるかと
置いてきぼりにされた街は
わたしの告解のエピローグの
書き出しなのだ
どこをどう曲ってきたものか
いま現場検証で歩いてみる