ポエム
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I U mi の底
厚さ2mmの潜水服を着て
水深100mをゆっくり降りてゆく
数分間のあいだ

何もない時間の鏡が 外の時間の景色を
ボールを投げた時のように放り込んでゆく

鼓動が聞こえて
鼓動だけが聞こえて

idoの底へと降りてゆき
雪のように
雪のように

底へ着いたら溶けて
浮かんでゆく無数の泡雫のように

脱ぎ捨てるように
昇ってゆき
重なってゆき

海と大気の中間線に重なり
何もある時間の波の中

収束して
収束して
目が覚めた時のように
目を開けて

海の風と
風の海のあいだを
誰かが迎えにくるまでずっと
眺め続けるのだろう
24/09/05 16:23更新 / kirima



談話室

■作者メッセージ
**フィクションです**

5回遺伝子を遡れば1900年
ご先祖さまに切れない竹簡に書いた詩を渡して
当時の詩人に見せたら何を思うだろう

きっと彼らは業が濃かっただろうから
ここが薄いとか、力が入っていないとか言うだろうけれど
遺伝子を連絡路としての書簡の交換を続けていれば

125年後のわたしたちのために、言葉を尽くして
竹簡に想いを託してくれるだろうから

それをただ続けているだけででも
意外と簡単に批判の要所を掴んで、瞳の鏡になれるのではないかなぁと

思うので、自分のご先祖さまを大切にする人がもっと現れると、
いいなと思うわけでした。

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