月と汽笛
深く彩られた黒の縁に浮かぶ萩のような月が
呼吸を留めた海に薄墨色の碇を降ろしている
それは紙の束で作られた紙垂で
はらはらと紙片と散らしながら降ろされた重さのない碇は
海のかたちと 空の色とが交わることもなく
行き着く前に書かれた文字ごと 月の光に透いて消える
船が一艘浮かんで地平線を横切っていく
風(ふ)と立ち上る緩い竜巻と汽笛の音が
紙垂の紙片へ出発を告げているようで
また来てくださいねと猫に餅のお使いを頼むと
猫はまた空を飛んでどこかへと行ってしまった
呼吸を留めた海に薄墨色の碇を降ろしている
それは紙の束で作られた紙垂で
はらはらと紙片と散らしながら降ろされた重さのない碇は
海のかたちと 空の色とが交わることもなく
行き着く前に書かれた文字ごと 月の光に透いて消える
船が一艘浮かんで地平線を横切っていく
風(ふ)と立ち上る緩い竜巻と汽笛の音が
紙垂の紙片へ出発を告げているようで
また来てくださいねと猫に餅のお使いを頼むと
猫はまた空を飛んでどこかへと行ってしまった