ポエム
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光のじかん
まだ暑みの気色ばむ夏の領域
自転車をめいっぱい漕いで坂道の参道を登る
その道は木々のアーチになっていて
その道を通る風が汗を乾かしてゆく

工事中の
県外からやってきた職人たちが
長らく止まっていた水源を復活させていた

幾重もの光と影の層を成している
階段の中空の向こうへ歩きながら
一ヶ月にあった記憶日記のページをなぞる


二度礼をして
二度柏手を打ち
みんなが良くなりますように
一度礼をして

鳥居の前後で会釈して
工事中の現場を立ち止まって見ていきながら
自転車に戻りハンドルに指をかけると

とんぼが一尾指に止まってきたので
しばらくそのままの時間にいて
ちょうど良いかげんの頃合いを見て
行きますねと心の中で挨拶をして

坂道をとんぼと同じだけの速さで
気をつけて走らせていく


月一回の大切な
光の時間が幾重にも
日々の一日をはしゃぐように流れてゆく

光と影の織りなす明日の
一番最中の中心線を
24/09/10 18:38更新 / kirima



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