ポエム
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影を慕いて
悲しげな顔をして

俯いてる父の背中は

溜息ばかりの毎日に

耐えられるほど大きくない



不安定だから尚更に

風は四方八方へ吹き続ける

人は揺れ動く葦のように

何も考えていないのに



街を行く人の群れは

彼を見ては振り向く

影を慕いて後ずさり

後ろを向いても前へ歩ける

たとえこの世に味方がいなくても

一人じゃない僕がいる



もう少し長く飲んで

最後の暖簾をくぐり抜け

街に消えていったあの日から

言葉をかえすこともなく



振り返れば父の背中も

あんなに小さくなってと

沈む太陽になぞらえたり

満ちゆく月とたとえたり



始まりの朝は遠くから

静かに静かにやってくる

玄関にいつもの革靴は

並べられてはいなかった



目と目を合わせて

別れの合図

失った後で気がつく

もう少しだけ側にいたら

僕はどんなに幸せだったろうか

哀れな人よなぜに

涙を流せるのか
18/05/11 01:16更新 / 喜楽一膳



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