風になりたい

風になって旅したい

変な夢ばかり見てるけど

狂ったわけじゃない

人として生まれたけど

なりたくてなったわけじゃない

人になりたくて

夢見てる動物たちも

なりたくてなったわけじゃない

一つ一つの運命を背負って

風に吹かれている

僕は時代に乗り遅れたけど

君はまだ風を感じているか

風はまだ吹いているか

花や草や鳥たちは

風の中で生きているか

名もなき夢は

風の中で輝いているか



風になりたい

私もいずれ風になる

母も父もそうだったように

いつか順番が来る

今すぐにではないけれど

名もなき夢を包みこむ

母のような暖かさ

父のような厳格さ

時に雨の中佇む人の

傘になれる人でいろ

風はそんな人に吹く

愛という名の風の中でも

あの日の風は吹き続ける



風の中で一つ

夢を見たけれど

思い出せないままに

終わってしまった

人は泣いてしまうけど

風はそんな人に吹く

暖かな心地を運んで

涙を吹き飛ばしてくれる

時代が過ぎれば風もやむ

しだいに弱まる風にさえ

懐かしさを感じて泣いて

その時風はいないから

誰かに拭いてもらうのさ



新しい時代になれば

また新しい風が吹く

私は私

大きな大きな風になる

母や父には敵わない

けれど私らしく吹いてやる

いつか出会った夢をまた

包みこんでみせる

そうして吹かれ続ける

風になったその後も

私は風になりたい