ポエム
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魔女狩り
愛するものと

一生を捧げた乙女の名において

炎の中で燃えるあなたを

私はしかと見届けた

煙は数多に立ち込め

灰は無限の悲しみを

漆黒の闇と

紅の夜明けが映し出す



オルレアンの乙女よ

あなたはなぜに

戦うのか

聖騎士たちは

目に見えぬ幻の紋章を

魔女の体から探し出す

罪深きものは沈み

浅はかきものは浮く

三度それは繰り返される



黄金の夜明けよ

薔薇の十字騎士よ

なぜに魔女を追い込むのか

神の名において

従わねばならないのか

均衡を乱す呪文は

我ら人間なのではないか



愛するものよ

三度繰り返された過ちを

お許しください

旅立つあなたを

ただ傍観するしかない私を

呪ってはいただけませんか

この世の果てで

私を待ち続けるのなら

あの世の向こう側に

辿り着ける



神代も契る黄泉の泉で

奮わぬ心を

燃やし尽くし

いまだ冷めやまぬ夏を

帰らぬ時軸の狭間で

待っていてください



時の流れを止めて

幾度も過ぎ行く夏

変わらない想い

流れに任せて

野に桜が咲くなら

きっとあなたにも

冬をも越える

春が来るでしょう

18/02/17 00:17更新 / 喜楽一膳



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