ポエム
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ノスタル爺な朝
わたしは今日朝からノスタルジーなのです
ノスタルジーなので、昔、解体された花壇のことを思い出しては
ノスタルジーにふけっておるのです

かつてそこにいたであろう妖精さんとか虫さんとか
そういうものを思っては目があつくなるのです

わたしは大変なノスタルジー病にかかってしまったのです

ふけってふけって歩くのも大変で

わたしは姿勢がだんだんわるくなって地面スレスレまで頭がさがって
コンクリートの砂や蟻とおんなじ目線になって
ノスタルジーにふけっているのです

わたしはノスタル爺

爺さんではなく婆さんかもしれませんが

とにかくどっしりと重たい重力や時間に揉まれて
地面を見つめておるのです

エンドロールのように地面がどんどん下に流れて
さっき見た砂やら蟻やらとさようならを繰り返して
またまたノスタルジーが加速して時間はどんどん重くなるのです

重さに耐えられなくなって地面に埋もれて

わたしはそこでノスタルジー病にかかったノスタル爺さんを待つことにした

23/09/29 12:56更新 / ささきキヌ



談話室



■作者メッセージ
今日の朝は体がおもくってどうにもなりませんでした。

ノスタル爺はたしか夢野久作の人間腸詰にでてくる言葉です。

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