ポエム
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自分の手を握ってみました。
そしたらなんだか知らない人と手を握っている感覚になりました。
自分の手。同じ体温。同じ大きさ。同じ湿度で。
左右でそれぞれの思いを伝えようと相手の手を握り合っている。
どれほどそうしていたか。
手と手の隙間がなくなればいいと互いに一生懸命肌を擦り付けています。
同じ肉体なのにどれだけ隙間を無くそうとしてもそこには肌と肌があって一つに交わることはないのだとわかりました。

わたくしはいつもあなたとの境目を無くそうと願いますが己の身ですらも肌という壁に苛まれる。どんなにどんなに隙間を無くしても体温が同じになっても私とあなたは個々に存在するほかないのです。生きている限り、死んでこの肉体がなくなってしまわない限り私たちはただ孤独に存在するほかないのです。

孤独に個々にわたくしもあなたも手を握りませんか。
握って、肌を感じて、肌に苛まれて、肌、ただ、肌に肌を押し付け合って、別々のものとして生きているのだと感じながら歩きませんか。
肌がなくなったら一番早くに気づけるように。ずっと見張っていましょう。
肌が存在する限り。
23/09/09 18:05更新 / ささきキヌ



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