ポエム
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2月の雨
この街の2月に降る雨は
ほんの少し潮気を帯びて
雪になって積もることもなく
すり抜けて排水溝に流れ落ちる

思い出した砂の味のような
垂れ流した感情のようで
もしも、去年の春に降っていたら
誰かの花を咲かせられたのかな?

ようやく気付く、やがて忘れる
それでも傷付く、だけど求める
季節外れの鳳仙花なんて
ありもしないのにと笑う

その棘をひとつまたひとつ
抜くことが叶わないなら
抜け殻でも構わないから
いっそ抱きしめて痛みを負おう

その瞳を閉じそうになるけど
左の瞼だけは下げないで
見つめなくても構わないから
きつく抱きしめて痛みごと覆う


この街の2月に降る雨は
ほんの少し潮気を帯びて
深くて浅い傷口に沁み込んで
重ねた痛みだけを残していく

崩れかけた砂の城のような
泣き出した表情のようで
もしも、去年の春に降っていたら
誰かの花を咲かせられたのかな?
17/02/10 13:16更新 / 閑古鳥



談話室



■作者メッセージ
初恋の人に再会して、初恋が片思いでないことを知った
でも今私にもその人にも大切な人がいる
ほんの少しの勇気があればまた少し違う現在があったのかな
でもその臆病さのおかげで今の私がいる
2月に降る雨はほんの少しだけしょっぱかった

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