小さな袋
このほころびのなかへ
わたしの感情をそっと集めた。
こぶをもった枝の大動脈、
その割れ目から光がこぼれるような小さな袋。
感情という命の熱が
手のひらにつたわってくる。
小動物を手に抱きとめたような
柔らかい肉の感触と温もり。
わたしは幼いころからずっと抱いていた
悲しみや孤独や寂しさを
そっと頬にあてている錯覚を覚えた。
感情をつめたその小さな袋を
外套のポケットにしまって、
今度は街を歩いてみよう。
街は今まさに平穏に包まれ、
家族連れは時のない時に
たわむれている。
わたしは異端者のようにそれを眺めていたが、
ポケットには温もりをもった小さな袋が、
わたしの体温に抱かれるように眠っている。
わたしの感情をそっと集めた。
こぶをもった枝の大動脈、
その割れ目から光がこぼれるような小さな袋。
感情という命の熱が
手のひらにつたわってくる。
小動物を手に抱きとめたような
柔らかい肉の感触と温もり。
わたしは幼いころからずっと抱いていた
悲しみや孤独や寂しさを
そっと頬にあてている錯覚を覚えた。
感情をつめたその小さな袋を
外套のポケットにしまって、
今度は街を歩いてみよう。
街は今まさに平穏に包まれ、
家族連れは時のない時に
たわむれている。
わたしは異端者のようにそれを眺めていたが、
ポケットには温もりをもった小さな袋が、
わたしの体温に抱かれるように眠っている。