ポエム
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小さな袋
このほころびのなかへ
わたしの感情をそっと集めた。
こぶをもった枝の大動脈、
その割れ目から光がこぼれるような小さな袋。
感情という命の熱が
手のひらにつたわってくる。
小動物を手に抱きとめたような
柔らかい肉の感触と温もり。
わたしは幼いころからずっと抱いていた
悲しみや孤独や寂しさを
そっと頬にあてている錯覚を覚えた。

感情をつめたその小さな袋を
外套のポケットにしまって、
今度は街を歩いてみよう。
街は今まさに平穏に包まれ、
家族連れは時のない時に
たわむれている。

わたしは異端者のようにそれを眺めていたが、
ポケットには温もりをもった小さな袋が、
わたしの体温に抱かれるように眠っている。
21/08/18 18:41更新 / kabu



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