ポエム
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忘れるように
目が覚めたのはまだ夜も明けない時間
ぼんやりとする目を擦りながら
辺りをキョロキョロと見渡す
でも目に入るのは闇ばかりで
気だるい体を起こして電気を点けた
その明るさに一瞬だけ目が眩んで
私の世界は動き出す
一つため息をついて聞こえてきたのは
お腹の虫が鳴く音で思わず笑う
時計を見れば午前三時
こんな時間にお腹が空くなんて
変な日だと思いながらも
私はいつの間にかダイニングキッチンに立っていた
そうして作り上げたのはパンケーキ
一昨日買ったばかりのバターを切って
大好きな蜂蜜をたっぷりとかけて
私の早すぎる朝食が始まった
珍しくふんわりと焼き上がったパンケーキを
ひとくち食べて思わず苦笑を浮かべる
あの人がいたら絶対出来なかった事だなんて思いながら
ちょっとセンチメンタルな気分になってコーヒーを淹れた
お気に入りのブレンドコーヒーは私の心を落ち着ける
甘い香りと苦い香りが溶けるダイニングキッチンで
あの人との過去を思い出しながら私は
午前三時のパンケーキをコーヒーと一緒に飲み下して
みっともなく鼻をすすった
あの日に失くした想いを
忘れるように
19/07/22 15:52更新 / 三神紗枝



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