愛の懺歌
いつもの挨拶
「どうした“ハニー”」
"囚われの身" でも
二人なら笑顔
「何が”ハニー”よ
バカねぇ”ダーリン”」
いつもと違う様子の君
「鐘がなるから
そうしたら
二人でここを出ましょ」
「危ないことはすんなよ
あんたがケガするのは嫌だから
俺を心配させるなよ」
「大丈夫よ
いざとなったら呼ぶから
”ダーリン”って」
「バカだなぁ
わかったよ”ハニー”」
出逢ったときのように笑う君
「ずっとあなたと居たいわ。」
「外に出たら何がしたい?」
「自由になりたい。」
「自由になったら何がしたい?」
何度でも応えた
「あなたの名前は?」
初めて聞く言葉
「そう わかったわ
忘れたくないなぁ
あなたの名前」
何故だろう
言ってないのに
今日が最後と
ひしゃげる眉間で
君の後ろに周ったけれど
鼻が詰まって 声が出ないや
仕方なく 小さな肩と
白けた 頭を揉んで
笑いあった ほんとうに
ケラケラと
最後の鐘がなり
慌ただしく動き出す 全て
「じゃあ、ちょっと
いってくるよ」
空元気の
冴えないセリフ
例えようもない 君のその顔
思わず下を向いてしまうのは
半端な笑顔で
君を置去りにしたからだ
ほんとうに 呼べばよかった
いつもみたいに
苛立つ涼しさ
掠れた夕焼け
君と俺が好きだといった
愛の賛歌を聴きながら
“ハニー”