ポエム
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僕は用意した話をさせてもらえない
沈んだ気持ちと帰り道
長かった今日を思い出せば
浮かぶのは飲み込まれた言葉たち

何本も電車を見送った
どの座席を探しても
そこに僕はいない

秘密の気持ち、あの坂道
並び立つ車輪も同じように
家路に着いては朝焼けを待つ

何度も人を好きになった
どのアルバムをめくっても
そこに僕がいる

宝箱にしまわれた一等星は
空気に触れることもなく
1日の終わり、この暗闇の中で
君に触れられることもない

手触りだけを頼りに
一つ取り出した
まだ見てはいないけど
この瞬間が、たまらなく好きだ


次会うときは何を話そうかな
何もありはしない
その空白を抱きしめた

伝えたい想いは拡がって
この先のどこかで道になる

せっかく用意した話を、
結局いつも僕はしない
この扉を両手で開けてくれる、
その声を、もっと聞かせて欲しいから
19/07/11 23:43更新 / アンタレス



談話室



■作者メッセージ
矛盾しているようで、していない詩です。
「次」を想像していると気がついたとき、
人に生まれたことも悪くないなと、素直に思えます。

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