ポエム
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鮮やか
君と手を繋ごうと思った。
でも君はポッケでカイロを握ってた。
だから自分のカイロを握った。
君と手を繋いでる気がした。

少し話したかった。
でも君は忙しそうだった。
「今度話がしたいな」と言った。
君は「わかった」と言った。

君に寄りかかろうと思った。
君に寄りかかってみた。
そのまま受け入れられた。
なんかちょっと物足りなかった。

君に週末の予定を聞いた。
「仕事が忙しくなかったら」と言われた。
「別の日でもいいか」と納得した。
でも、ほんの少し納得できていない。

君より早く起きた。
君に話しかけてみた。
「ちゃんと寝れた?」って言われた。
咄嗟に「寝れなかった」と嘘をついた。

「もう少しだけ」と言った。
「また今度ね」と言われた。
「そうしようか」と言った。
君は何も言わなかった。

君に言えなかった事が沢山ある。
君と出会ってから、話したことより、
話さなかったことの方が多いくらいだ。

一人の頃は鮮やかだった。
目を見開かなきゃ絶対に
区別なんかつかなかったけど。

今は何も見えない。
眩しすぎて、何も見えない。

花のさ、香りがするんだ。
幻じゃない。記憶の中にね。

一人の帰り道
君と同じに巻いたマフラー
足音は呼吸を教え、
同じ今日がないことを知る

この気持ちはいつか消えるだろう
だからあの気持ちも、
その頃には消えるのだろう

君に電話をかけようと思った
君はなんと言ってくれるだろうか
そしたらこの気持ちは、
どんな色に変わるのかな
20/02/14 00:45更新 / アンタレス



談話室



■作者メッセージ
この気持ちは揺られて
君へ向かった
この気持ちはまだ揺れていて
残像に彩りを与える

桜を待つより、君の声が聞きたいな

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