ポエム
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泥水と靴下と、そして君
靴下まで染みる雨水
替えは持ってきていない
突然の土砂降り
またか、とため息をついた

目にしたのはいつも
部屋のシミ、
夕日に輝くホコリ、
そして誰も知らない迷い込んだ虫たち

見せたのはいつも
肌の裏側、
誰かの言葉、
そして昨日捨てたはずのアルバム

どうして隠してくれないのだろう
という願望を、隠しながら生きている
どうして見つかってしまうのだろうと
この心を欺きながら

裸で生まれてきて
ぐしょ濡れで息を知ったのに
いつの間にか、どちらも忘れ、
苦い顔をしている


噛みつぶしたのは迷子の虫さ
雨を忘れた迷子の虫さ


泥水で顔を洗って、
それを見て誰かが笑って、
そいつも泥だらけだって気がつけたら、

そうしたらきっと

そいつに泥水をかけて、
だから怒って泥を塗られたら
その時、僕は生まれて
そいつは、僕にとっての君になる

そうしたらきっと
そのときやっと

僕は靴下を脱ぎ捨てて
ここから走り出せる

君が裸足だと、
僕は今、気が付けたんだよ
19/09/10 00:36更新 / アンタレス



談話室



■作者メッセージ
たとえどんなに、
見えなくても
触れられなくても
名前がなくても
ここにいなくても

泥だらけでそこにいるよ

その手で、汚してくれてありがとう

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