ポエム
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君と僕の「寂しい」
君の言う「寂しい」が分からなかった

会いたいわけじゃなくて、
電話をしても失くならないみたいで。
ただ、「そうだね」って僕が返すと、
「違うんだよなぁ」と言って笑う、
君が好きだった。

最後の一言を告げられないようにと、
注意深く呼吸をする僕は、
さぞかし無様なことだろう。

戻りたいよ、あのときの自分に。
何度も、何度でも。
だってそうじゃなかったら僕は、
ただ一つの正解を探して、ずっと迷子のままだよ。

戻りたいよ、あのときの自分に。
何度も、何度だって。
だってそうじゃなかったら僕は、
やっぱり可能性は0だったって、安心できないじゃないか。

君に見つけた光は、あの日と同じように輝くけれど。
僕が持っていた、君の見つけた何かは、
どこかで落としてしまったのかな


この時間が終わってしまうのなら、
僕を抱きしめなくていい。

あの時間を思い出と呼ぶくらいなら、
記憶を全て失くしても構わない。

言葉を交わせなくなるくらいなら、
死ぬまで僕の名前を呼ばなくていい。

君に傷つけられなくなるくらいなら、
僕はなんだって与えよう。


君に何を求めていたのだろう。
僕は何を待っていたのだろう。
この黒い、黒くてだけど落ち着く何かが、
僕の持っていたものなの?
君が見つけた光だったの?

ただ一つ解るのは、
ここから「寂しさ」ってやつが、
生まれてくることくらい。

僕を映すのは、歪んだ鏡。
もうきっと壊れてしまった心。
球体世界で天井を探すなんて無意味。
だけど、それでも、
考え続ける何かに、僕はなりたい。
 
これが僕の欲しかったものか?
これが君の見つけた僕の姿なのか?
君の瞳に映りたかった?
それはここから、どれほど離れている?
僕は空を飛べた?
一度だって自由になれた?

だけど、それでも、
解などなくとも、
問い続ける何かで、僕はありたい。

もしも、この黒さが、君の瞳の色だとしたら。
僕が欲しかったものは、つまりは君の瞳で。
それは僕の中にあって。だけど僕からは見えなくて。

要するに、求めたのは、
君に求められる、僕自身か。

寂しさってそういうことか。
近くにあって、届かないってことか。

例えば、
今の僕の、
心の中とか
19/08/05 01:05更新 / アンタレス



談話室



■作者メッセージ
多分、あの花は寂しさを知らないけれど、
それに気づいた時、僕は、
少し寂しい気持ちになりました。

2018/12/13

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