ポエム
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握りしめた左手と、僕の右手について
ずっとずっと、ただ悲しかった
藻掻いても沈んでいくみたいな
何もかも等しく遠く、見えない場所から
そして、誰も僕を見てはいなかったから

いつの間にか握りしめていた
あれから、いつだって握りしめている
その背中だけ指差す、左手の磁石
今はないその背中だけずっと

あの人の情熱が
僕の情熱になったから

あの人の優しさが
僕に優しさを教えてくれた

あの人の純真さで
僕はこの心の汚れを知った

あの人のくれた無力さが
僕のすべての始まりだった

追いかける事は叶わない
もうあの人はいないから
だから夢の中、その風の吹くところまで

すれ違って、さようなら
だからこの足は、弱くても迷わない

思い出せないあなたの声に呼ばれて
今、ようやくここまで来た

与えられた還り道で
何度手足を失おうとも
掴み取ってみせる

あの日、あなたが
「ああそうだ」と僕を見つけてくれたように

まだ見ぬ君を見つけたとき、
そっと差し出せるように

この右手は君のために
19/08/05 00:45更新 / アンタレス



談話室



■作者メッセージ
「何か1つでも変われるとしたら、
その時はこの手足を、
どれだけ捧げればよいのだろう」
これは5年前、初めて書いた詩の一節。

結局、手足だけじゃ足りなかった。
内側からえぐられて、身体は裏表が反転した。

だけど、こうして今日を生きている。
そしてこの詞が、僕の新しい手足だ。

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