ポエム
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黒いヴェール
伸ばした手の先、霞んで消える
窓の向こうに広がる世界に、宝石のような輝きの太陽
あんなに楽しかったのに
あんなに幸せだったのに
あの日の記憶、もう信じられないくらい遠くに歪む

誰か
誰か、この煩わしいヴェールを早く剥ぎ取って

指に触れて
手を掴んで

お願いだから、このどうしようもない運命から逃れさせて

髪に触れて
頭を撫でて

幼子のような、この無知な魂を救いだして

花々の揺れる艶めきや、木々の雄々しさ
羽ばたく白き鳥や、流れる雲
すべての輝ける一瞬の宝石たち

ああ、もう色も分からない
眼の前のうっとおしい霧のような、煩わしいこの黒い黒い長いヴェール

そのうち
伸ばした手の先、記憶すらも霞んで消えた

涙が流れた
心が震えた
目を開けて、ふと我にかえる


ああ、夢でよかった、と





23/09/25 23:11更新 / iliya



談話室



■作者メッセージ
滅多に見ないですけれどね、シリアス夢オチ

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