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夏の悔 (詰)
夏の悔 (詰) 20/07/28 19:01作成

雨とガス混じった香りになにおもう人が吸えば世も混濁

愛想撒き消えた君は心憂し真っ黒色の線香花火

絶え間なく疾走した夏小気味良く戻らぬ過去に喉詰まらせる

百を好き志せば零に成りもういいやって放棄する

紙切れにびっしり埋まった文字達は私の分身歪んでいた

溺れたい夏の匂いに耳澄ます

貴方より苦悩は小さく不透明ないてしまってごめんなさいね

伍時の鐘私に届かずどこか余人へ

冷房の音さえなんだ心地良く肌を冷まして布団を被る

弱虫と知られないよう目薬を垂らして顔がびしょ濡れに

言葉にし価値が薄れて逝くそんな気がして捨てた私のかたまり

悔いばかりいかないでって言いたい言われたいとかそんな黒中

完璧な人間なんていないなら来世はロボットめざします


夏の悔 2 (詰) 25/08/20 23:13作成

記憶の奥のほうで鳴くすず虫お歌づくりの儚い思い出

柑橘の夏は夢を知り人であれば大人を知る

毒の色が明瞭だったあの頃今は風が痛いだけ

えんぴつの角で咽び泣き今ネクタイを覚えて遠くへ

ひたすらに匂いを求めるあの水溜りに浮く黒い夜の

まっ先にとる線香花火美しさを知るわたしは醜い

大事なものを教えてくれるの砂糖のかおる蓋の隙間

ありもしない世界ことばで紡ぐここは静か

死後は心ごと焼いてくれわたしの辞書も焼いてくれ

言葉にしたらひとは亡き骸になるしあわせ

泣いてしまえ血が尽きるまで筆がわたしを置いていくまで

小説がわたしの恋舞台飢えた心に初恋舌が震える

涙で揺らぐアイラインそういうものがつくりたい

にせものの冬をつくる夏の恒例行事

陽がおしえる陰影の美しさあなたにも知ってほしいから生きる
25/08/20 23:15更新 / 深紺

■作者メッセージ
夏の悔 (詰)は5年前につくって非公開にしてしまいましたが、新しい詩と併せて再び載せてみました。夏に感じた私の後悔です。

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