花攫い
今年も、忘れずに桜が咲いて
春の女神が舞い降りる
萌葱色の長い髪を靡かせ
淡い緋色の瞳が
挑むように覗き込む
誰しも、彼女に抗うことなど
出来ず
心を奪われて
貴方も他に違わず、彼女に魅入られ
吹き上がる花びらの渦中に
身をまかせる
《お願い、彼を連れて行かないで》
彼女は、容赦なく貴方を
連れ去り
生きながら、別れを強いられる
声にならない嗚咽は
春風にかき消され
貴方の名を呼ぶ唇を
花びらがそっと封をする
春の女神が舞い降りる
萌葱色の長い髪を靡かせ
淡い緋色の瞳が
挑むように覗き込む
誰しも、彼女に抗うことなど
出来ず
心を奪われて
貴方も他に違わず、彼女に魅入られ
吹き上がる花びらの渦中に
身をまかせる
《お願い、彼を連れて行かないで》
彼女は、容赦なく貴方を
連れ去り
生きながら、別れを強いられる
声にならない嗚咽は
春風にかき消され
貴方の名を呼ぶ唇を
花びらがそっと封をする