眠りのうた
ひとが眠るときに見る夢は、自分の形をしているかもしれない。何もない寂しいところにずぶずぶ自分だけを象って、それから真夏のアイスのようになっていくんだ、きっとそうよ。だからひとが死ぬ夢も空飛ぶ夢も、これから起こる現実だって見えてくるの。ぽっかり空いた自分の空洞は、それっきりなにも入らなくて、ほら、振り返れば見知らぬ穴ばかりだ。夜景のざわめきが美しい。
あなたがちゃぷちゃぷと風の中で踊るなら、ぼくはどんなに安心できたんだろう。その空白のひとみがこちらを見て、ただ無感情に、ただ無感動に刺し殺してくる。それだけで寂しさを感じて、夢だ、これは穴の空いた夢だと逃げ出していく。そこにはたくさんの誰かが転がっていて、さて、ぼくは何を思うのですか。自分の形のそれは、何色の朝に見えますか。