漠然としたうた
他人のことを知ることができても、理解することなんて一生無いんだと思う。でもそんな他人をかわいいと、美しいと慈しんで、それを理解されないで、けれどぼくらはひとを追い求める旅人だ。枯れた木の上によじ登って、空へ漕ぎ出すための準備がしたい。死んだものも生きたものも、同じ空気を吸っているから。
責めきれなくて漠然と隔たりを感じた夜があった。見えない針に刺されたまま、言葉だけが口から漏れていく。悪くないよ、誰も。見えてないよ、ぼくも。そんな他人のすべてになりたい。そんな他人の肯定に、なれたらよかった。