ポエム
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綺麗にするうた


爪の色を好きな色で塗ったとき、自殺しようと考えた。爪先まで綺麗である必要なんてないから、その時点で染料は無駄なんだって。失敗作はゴミ箱に捨てるみたいに、無意味な素体は必要ないのだと思ったから。階段の二段飛ばしもできないのに、にんげんだから翼なんて生えないのに。
誰かの優しさに触れたとき、時計の針が逆流する錯覚を見る。骨が軋み肉が縮み、誰かの空洞のなかでしか生きられなくなる。羊水で満たされたそこなら私は魚になれるから。自殺とか、他殺とか、何も関係のない世界にいられる。そうなりたいと願ったのはいつからだろう、爪を塗りたいと思ったときかな。ただ綺麗でありたいと願って、爪先まで素敵でありたいと思ったときだ。魚は、ただ美しくありたかった。
20/04/04 13:34更新 / 柚子色



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