前日のうた
遠足の前日は良く眠れる子供でした。ぐっすり眠って、きっちり起きて、楽しさと孤独の境界をさ迷っています。緊張という感情は幼い頃に置いていってしまったみたい。何も感じず、期待の鼓動だけが過る。これ、緊張じゃないよね?なんて聞いてみたら、知らないよ、と返ってくる。薄情もの。もう二度と、手を離してやらない。
いつか散る火花を夢に見ていた。年に一度しかない行事はたくさんあって、そのうちのひとつだと知っているけど、瞼の奥で煌々とする煌めきを願わずにはいられなかった。触れてしまえば幻想。消え行くうたかただとしても、手を、伸ばしたかった。
迎えた当日の心地好さに目を細めて、柔らかい偶像のなか、嵐のなかを一人さ迷っています。