列のうた
階段を昇る人々の、それは葬列みたいで、天国へ向かってるみたいだった。おそろしい事件が公表されて、だれかは憤って、だれかは謝罪して、永遠ループ。こんな不毛な世界に意味を見いだせるなら、早く救って欲しかった、ぼくらを。
芸がないと言うのかな、わたしの言葉は不要だと、きみたちはそう言っている。勝手な支配欲はそうやって、異端者を殺し続ける。良かったね、強い人で。拍手を送ってあげよう、ぱちぱち。乾いた音が木霊して見て見ぬふりをされてしまう。結局こんなものだ、奇跡なんてなくて、運命があるのなら今頃死者を弔ってなどいないよ。良いよ、仮想的と嘲笑っていて。わたし、常に誰かと戦わないと、自分を証明できない病気なの。
階段を昇り終え、歩き始めたわたしは電車を、乗り違えた。