ポエム
[TOP]
変わるうた


桜の風に列車が通り、まるでお別れみたいだ。
変わらない世界がここにはあって、変わる世界がどこかにはあるなんて、常識的かもだけど怖いじゃない。同じときを生きた人が信じられないのは、違う世界の住民だからかな、いやきっと違うわ。怖がっているのは自分だけなのだから。人と人が手を取り合う様を夢に見るのは、自分だけが違う世界に籠っているから。

雨の中を列車が通り、まるで始まりみたいだ。
いつか変わってしまう自分がこの先にいて、変わっていく前の死骸が振り返ればいるなんて、常識的かもだけど怖いじゃない。同じところで生きた人が信じられないのは、違う素材の住民だからかな、いやきっと違うわ。怖がっているのは自分だけなのだから。誰もが幸せを願える様を夢に見るのは、自分だけが違う素材で構成されているから。

でもそうやって出会って、自分じゃないなにかになることを望んでいたんだ。

19/05/31 15:18更新 / 柚子色



談話室



TOP | 感想 | メール登録


まろやか投稿小説ぐれーと Ver2.35c