明け透けるうた
ぼくらが意識してない死こそ、本当の意味での死なのだと、つぶやいたきみの横顔がいやにさみしくて、ひどく永遠的だと、文字を書くペンが止んだ。死にたいとおもうこころがわからなくなって、ぽつり、ことり、夢中夢にあめがふって、透き通るひかりが心臓を抉り取る。しろい空気の先を見ていたのかなあ。たぶん、きみはなにものにもなれずに、なにものにも縛られなかった、すてきだった、ぼくにはできなかった、だから、だから透明だった。エデンの分かれ目、追悼の、花束。
皮膚がぺりぺり剥がれて、そのなかの内蔵が見えて、血をながして、ぼくが見えて、さらされて、意見を要求されて、ミルフィーユ。ぼくが中心なのは、いつもぼくがぼくであるから。ドーナツはいつも死んでいて、ようやく二度目の死がやってきて、やがて透明になる。はやくころしてくれ、本当の透明になれたなら、ぼくは、しろい空気になれるから。このナイフで、きみの心臓を。