偏るうた
好きは偏見だよ、気付かなかった?偏った想いがいつも公平性を殺している、この殺人犯!人間の気持ち、スイッチ式になって欲しいと何度も願う、オンとオフで関心無関心が選べる、合理的なシステムだ。早くして、急かしてるあの子に導入してあげたい。
旅行の終わりはいつも悲しくなる。非現実と不便が両立する最高の逃避行。始まることを恐れて終わることを寂しくなってしまうのは身勝手で、そんなときこそ切り替えたい。どうせ二十四時間後には日常に溶けて、型抜きさえも消えているのだから。
現代は偏見の塊を生産する工場で、今日も一人、一人と独裁者をつくっている。一瞬、自分じゃない自分になって、そんな現在が恐ろしくて、フラットでありたいと自分を形成してみる。なるべく、真ん中にいたい。審判者。結果なんて下したくないけど、けどどちらとも馬鹿だと笑える立場にいたいと思う。だから、好きに嫌いを染み込ませて、今日も歩道の真ん中を歩いている。