怒りのうた
怒りは、なにも生まないと言いました、偉い人。温厚でありたいので、穏やかと思われたいので、怒りを律します。落ち着け、落ち着け、と唱えるわたしは危ない人です。操り糸が切れることを怖がっています。演じてるわけではないけれど、あの人の前では平静でいたいから。おかしいかな。
「仲良しなのね」。ええ、そうでしょう。自慢なんです。
仲良しってなにを以てして仲良しなのだろう。人と人の中、良しとするのは当人たちで、わたしたち部外者には関係がない。勝手な線引きで形容するな、わたしは仲良くなんて見えないんだ。隠した右手のナイフに気付いてないだけ。今すぐに刺して、内臓を抉って、顔面を滅多に刺して、跡形もない赤のうみにしてしまえる。なにも、うめないのに。優しいわたしができるはずもないから、ただの幻想なのです。わたしは、年頃。