朝をうたううた
どうか地獄に落ちませんように、横断歩道を渡りました。
おやすみなさい、真夜中のあとは、おはよう、真っ白な朝。
鳩がこちらを見ています、今日のご飯はアップルパイ。
無言の応酬、人々は文字で会話をします、クルミ割り人形。
昨日の歌劇を思い出す、過激だった、それでいて、華美だった。
新緑が眼を出して、春だ、ようやく持ち出す季節の自覚。
音量をあげて、箱庭へ手向けるフェイバリットミュージック。
欠伸は関心がなくて、誰もが架空世界へ飛び立つフライアー。
息が、切れるよ。空は水族館。こんにちは。飛び交っている。空を飛ぶ夢。世界を繋ぐ電柱。アインシュタインは偉大。飛ばない飛行機。駆けるシマリス。こんにちは。聞こえないよ。デジタル空間。利便性の結果。会わない視線。記憶媒体はメモリー。ペンを捨てた人々。残るもの。なにが、あるというんだ。開くドア、消えた挨拶、作業中の作品。窓からの青。これが、わたしの朝。