さよならだけが人生ならば
そんな人生洟かんで捨ててやると
寺山は言わなかった
わたしなら足蹴にして踏みつけて
唾を吐いて人生を残酷に殺したい
それにしてもだ
さよならが多すぎる
みんな無言で死んでゆく
同い年で仲間たちが次々と
お別れなんかする暇もなく
突然に舞台から降りやがる
先週電話が来たばかりに
その声もまだ残っているというのに
もうこの世の人ではないなんてな
死に急ぐなよ
あまりにも簡単に
おまえらの骨を拾うためにおれは生きて
生き残っているのか
ばかにするな
おれを置いて次々に
みんな遠くに行っちまってな
電話を掛けたら
お掛けになった電話は電波の届かないところにと
自動音声が聴こえるばかり
どこに行った
圏外なのか
あの世からこの世への通信はできないのか
メールも戻されて
死人に口なしか
あんまりだよ
みんなみんな死んじまって
おれは一人生き急ぐ
かなしむ暇も与えずに
全速力でおまえらの分まで生きてやるからな