小さな孫には不思議が一杯
どうしてママがいないのか
青森に帰ったのか
仕事をするため青森に帰っていると
そういうことにしていた
だけどどうも五歳児はみんな知っているような
幼児にはどんな説明しても判らない
だから大人になったら判るからと
そういう逃げ口上では
泣いて納得しないのだ
理由がいる
それは言えないことで
小さい子にもこころに傷を与える
だから嘘も方便

息子が五歳のときにやはり母親が
出ていった
そのときは兄たちは高学年で知っていた
ママはどこに行ったの？
と三男が聴いたら
長男はママのことは言うなよと
小声で叱っていた
まさかよそのお父さんのところにいるとは
とても言えないし判らない
それだからわたしは
ママはね公園にテントを張って
キャンプしているんだよと教えた
それもおかしい
それで信じたか
いまその三男がパパになり
同じ年の息子にどう説明したか

鉄格子の部屋にいて
いまごろは何を思っていることか
小さい子には見せられない
ほんとうの母親の姿など