中年になった息子のために
おれがいるのだ
孫たちのためではない
孫に責任はない
いい年をした息子に親もないが
いくつになっても親は親
子は子でそれは
102歳になるおふくろも高齢の息子に思う
親心

桜桃は高くて買えなかったが
もし買ってきてもおれは息子と二人だけで
食べてしまうのだろう
孫より親が大事だと

あの小さなときの息子のだっこの手
末っ子だから甘やかせ
それがよくなかったなと
いまに思う甘ったれ

それは親が悪い
かわいいと育てて
大人になって苦労している

それにしても親から子
子から孫と血は引継ぎ
どこかおれに似ている小さな子と
遊んでやるとそれは息子の幼いとき
三代が暮らす部屋で
血はいまも旅を続けている