ポエム
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木漏れ日
木漏れ日が
葉のあいだを
通過するときに
受け取るものは
ぼくやあなたや
器物や魂のような
口に出すのも
もったいないような
不思議できれいで
すばらしいなにか

霧雨の日
しょろしょろと
濡れて
ありがたかったり
イヤだったり
時と場合により
ぼくらは
生きたり死んだりする

海の底から
聞こえてくるような
ぼくらの本心は
死のまぎわでなく
ふだんでも
枯葉のように
なぜ沈んだか
わからぬままに
浮かび上がってくる

わからないのに
つまらなくはなく
むしろ不思議で
尊さすらある

池の枯葉を拾うように
しみじみ手ですくってみれば
こぼれ落ちるしずくさえ
語りかけては消えていく
まぼろしみたいな
そんな自分の本音だった

木漏れ日が
葉のあいだを
通過するときに
受け取るものは
ぼくやあなたや
機械や心のような
口に出すのも
もったいないような

不思議できれいで
すばらしく
素敵な
なにか
24/02/04 17:05更新 / 平井かずみ



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