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虹がかかる
虹がかかる
ぼくの頭上に虹がかかる

満天の星空を
横切るように
飛行機雲のように
まっすぐに
虹がかかる

「ちがう、あれは
天の川というんだ」と
親切な人が
教えてくれた

でも虹でないなら
なぜ
あの人は今
あの上を
天女のように渡っているのか

虹でないならば
なぜ
あの川は
あんなにも
七色のまばゆい色彩を
宇宙の端から端まで
地層のように
重ねているのか

虹が曲がる
ぼくの真上で虹が
大きく
上向きに曲がる

端っこが
ほら
降りてきた
いま
ぼくの手の中に
ぎゅっとある
虹のきらめく尻尾が
ほら
見て 見て

「おまえにゃかなわん
いちど病院行け」

ついさっき
あきれて言った人も
ふと夜空を見つめて

「おまえは今
虹なんか、つかんじゃいないが
あそこには確かに
なにかあるな」

そのとき
虹を渡ってきた彼女が
ぼくの前にだけ
降り立った
白く光り輝く
天からの使者は
にっこり笑い
「良い晩ですね」

さっきからうるさい
現実主義者の人は
ふと
そっちを見た

そして
言いようのない顔をして
目をそらした
24/01/26 23:45更新 / 平井かずみ



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