ポエム
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"憧れ"になりたくて
憧れて、髪を亜麻色にしたけれど
私には全く似合わないの。
短かった髪も随分伸ばしたけれど
私はあなたになれないの。

憧れて、白い花束を持って丘を降りても
私を待つ人は誰も居ないの。
それでも笑うことは忘れないようにしていたけれど
私はあなたになれないの。

憧れて、歌を歌ってみたりもしたけれど
ちっとも明るい歌声になれないの。
悲しい気持ちが晴れないから
私はあなたになれないの。

悲しくて、髪の毛を切って花束を捨てて
祈るように歌いながら丘を下ったの。
誰かが待っている気がして
丘の先の谷底まで踊るように下ったの。

気がついたら、白い花に囲まれて
きれいな亜麻色の髪にも花が咲いていて
身体は羽のように軽くて、まるであなたになったみたいなの。
気分が良いから歌ってみたりなんてしたら
とてもきれいな声で歌えたの。

嬉しくて、どこまでも歌いながら駆けていっても
待っている人は居なかったけれど
それでも私はどこまでも駆けていくの。
白い花の咲く丘を抜け、鬱蒼とした森を抜け
暗い谷底を抜けて、どこまでも歌いながら駆けていけるの。

いつの日か、あなたに会えると考えたら
どこまでもどこまでも駆けて行けるの。
羽のように軽く、微笑みながら、明るい声で歌いながら
どこまでも駆けて行くの。

20/11/26 06:38更新 / 大蓮はじめ



談話室



■作者メッセージ
好きな歌を聴きながら書きました。

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