まだ雨は降ってきはしないだろうと西の曇った空を見た
それを想った後に東へと向かって歩き続けた

何かを避けるようにただ遠くへと歩き続けた
そんな確かな記憶などはないのだが

まるで浅はかな記憶を辿りまるで己自信を
何故か見つめているようだ
雨の止んだ後の何とも言えぬ感情をなんと
私は述べましょう
されどその感情は我が身に今や儚き夏の詩情を語る
葉を揺らす夏風の音あの川に雨の雫が落ち
澄んだ水面には鮎が泳いでいる
あの川の畔の水車が水に打たれ回っている音が聴こえる
この私にはその風景がどの場所か記憶は無いが
それはあの壁に飾られたあの風景画のように
今も夏の詩情を語るのだ