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不滅の微笑み

あなた方は

覚えておられますでしょうか?

あの日の

どうしようもなく

声が出ないほど泣いていた私へ

そっと語りかけてくれた方

黙って抱き締めてくれた方

じっと話を聴いてくれた方

気を紛らして、笑顔にさせてくれた方

みなさんが、各々の

それぞれの方法で

私を救おうとしてくれた

元来、私は頑固者ですから

自分自身でしか、自分を救える者はいないと

そう思う人間でありまして




しかしながら

それでも、あなた方が私に見せてくれた

あの、微笑み




人の助けに、少しでもなろうと

ただただ、透き通るように純粋な微笑みを

あなた方は私に、向けてくれた

私はね

あれを覚えているから

人間であることを、まだ辞めないで済むのですよ



もちろん、もう今は

逢えない方もおられます

あの時のように、微笑んでくれない方も

それは同様におられます

けれども

だからといって

あの時見せてくれた微笑みが

消えることはありません

あなた方の中に

か細い、一筋の光のような

小さな優しさしかなかったとしても

私はそれを、忘れることはありません




私の

私の胸の中に

あなたの微笑みは

ずっと刻まれています

忘れられない優しさは

今も私の中に生きている



確かにあった、愛の証

それは、あなた方の

不滅の微笑み










20/08/30 03:21更新 / すっとこどっこい



談話室



■作者メッセージ
どんなに仲が良くても、いつかは離ればなれになります。
死ゆえか、はたまた物理的距離か、もしくは仲違いか。

それは分かりません。

しかし、だからといって、その人の優しかったところまで消えてしまうのでしょうか?

あの時、あの人は、私に優しくしてくれた。

それだけで、充分です。

それさえ覚えていられたら、もう何もいりません。

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