好きなものしか見たくない
基本的に
人は、好きなものしか見たがらない
前向きな言葉
眩しい笑顔
素敵な夢
そういった、気持ちの良いものだけを
己に都合の良いものだけを見ようとする
例えば、顔
鏡に映る自分の顔というのは
実は、脳が補正して少しばかり美形にしている
もはや無意識の内から、脳は自分に都合の良いものしか受け入れないように設定されている
それゆえに
真実を、徹底的に無視しようとする
真実は常に
自分の都合の良いようには動かないから
それから逃げようと
目をそらそうとする
だから、人間は簡単に騙される
甘く優しい言葉を、ちょいとかけてやれば
ふらふら…と
夜の街灯にたかる、羽虫のごとく
吸い寄せられる
だからこそ、我々は
真実を観る眼を必要とする
本当に優しい人とは
相手に都合の良いことしか語れない人ではなく
真実と向き合い、そこで一緒に頑張ろうと声をかけてくる者だ
ありもしない幻想に依存するのではなく
今ある、目の前の現実に向かい、たくましく生きようとすること
我々に必要なのは、それだ
ふわふわと、浮いたその足を
そろそろ地に戻そう
もう
夢を見る時代は終わった