【怪談の詩】仄かに立つ黒い影
いる
あそこにいる
明らかに、いる
私には分かっている
寝室の窓から見える
隣の家
その屋根の上に立つ
黒い影
人の型をしている、あれは
ただ、ぼー……とそこにいて
じっと動かない
逢魔が時であるが故
夕日の赤さと
宇宙の暗さが合間って
昼とも夜ともつかぬ
まさに奇っ怪な空がそこにあり
ともすると、あのような影がいることも
この空の下では、似合っているとすら思えてくる
ふと、黒い影が
私の方に向かって
少しだけ近づいた
直ぐ様、窓を閉めて
カーテンで閉ざし
イヤホンを耳につけ
お気に入りのハードロックをがんがんに流した
知らない、知らない
無視をしよう
そう思えば思うほど、脳裏にあれがちらついた
手汗をやたらとかいた
私は、一旦部屋を出て
リビングへ向かった
電気を目一杯つけて
ソファに寝転がって
眼をつむる
知らない、知らない
知らない
知らない
知らない……
……気がつくと、私は数時間ほど寝ていたようで
外はもう、墨で塗ったかのように真っ暗だった
のそのそと、寝ぼけ眼の私は
夕食を食べて
風呂に入り
寝る準備をして
また、寝室へ帰ってきた
この頃になると、先ほどの影のことは、それほど恐れてはおらず
まあ、何かの見間違いだろうと考えて
明かりを消し
ベッドに寝転がり
毛布を被って、眠りにつこうとした
が
その時、カーテンがなびいた
ふう……と風が弱々しく吹いて、ゆらゆらとカーテンが揺れたのだ
なぜ!?
確かに窓を閉めたはず
風が入るはずもない
だが、現に窓は開いている
カーテンがゆれる度に、ちらりちらりと外が見える
真っ黒な外
何も見えない
あの影が、そこにいたとしても
私には確認できない
カーテンを全開にして、確認する勇気もない
ゆらり、ゆらり
カーテンがなびく
そこにいるのか?
黒い、あいつ
風が冷たい
足の裏が、そわそわする
寒い
いるのか?いないのか?
やつは
窓の、すぐそこに
それとも
この部屋の中に……?
カーテンがなびく
あそこにいる
明らかに、いる
私には分かっている
寝室の窓から見える
隣の家
その屋根の上に立つ
黒い影
人の型をしている、あれは
ただ、ぼー……とそこにいて
じっと動かない
逢魔が時であるが故
夕日の赤さと
宇宙の暗さが合間って
昼とも夜ともつかぬ
まさに奇っ怪な空がそこにあり
ともすると、あのような影がいることも
この空の下では、似合っているとすら思えてくる
ふと、黒い影が
私の方に向かって
少しだけ近づいた
直ぐ様、窓を閉めて
カーテンで閉ざし
イヤホンを耳につけ
お気に入りのハードロックをがんがんに流した
知らない、知らない
無視をしよう
そう思えば思うほど、脳裏にあれがちらついた
手汗をやたらとかいた
私は、一旦部屋を出て
リビングへ向かった
電気を目一杯つけて
ソファに寝転がって
眼をつむる
知らない、知らない
知らない
知らない
知らない……
……気がつくと、私は数時間ほど寝ていたようで
外はもう、墨で塗ったかのように真っ暗だった
のそのそと、寝ぼけ眼の私は
夕食を食べて
風呂に入り
寝る準備をして
また、寝室へ帰ってきた
この頃になると、先ほどの影のことは、それほど恐れてはおらず
まあ、何かの見間違いだろうと考えて
明かりを消し
ベッドに寝転がり
毛布を被って、眠りにつこうとした
が
その時、カーテンがなびいた
ふう……と風が弱々しく吹いて、ゆらゆらとカーテンが揺れたのだ
なぜ!?
確かに窓を閉めたはず
風が入るはずもない
だが、現に窓は開いている
カーテンがゆれる度に、ちらりちらりと外が見える
真っ黒な外
何も見えない
あの影が、そこにいたとしても
私には確認できない
カーテンを全開にして、確認する勇気もない
ゆらり、ゆらり
カーテンがなびく
そこにいるのか?
黒い、あいつ
風が冷たい
足の裏が、そわそわする
寒い
いるのか?いないのか?
やつは
窓の、すぐそこに
それとも
この部屋の中に……?
カーテンがなびく